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日本語パートナーズ(マレーシア)で広がった世界
~言語文化学部マレーシア語4年?加藤 稚菜さんインタビュー

外大生インタビュー

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東京外国語大学言語文化学部でマレーシア語を専攻する加藤稚菜(かとう?わかな)さんは、大学3年次に国際交流基金の「日本語パートナーズ」派遣事業に参加し、マレーシアの中等教育機関で日本語教育のアシスタントとして活動しました。その後、東ティモールでの短期派遣にも参加。今回のTUFS Todayでは、加藤さんにマレーシアでの派遣生活やその後の変化についてお話を伺いました。

(インタビュアー:留学支援共同利用センター 小松謙一郎 留学支援コーディネーター)

マレーシアに興味を持ったきっかけ

──本学のマレーシア語を志望した理由を教えてください。

実は、きっかけはYouTubeだったんです。大好きなYouTuberさんがマレーシアに3ヶ月滞在していて、その動画を見ているうちに「マングリッシュ(Manglish)」というマレーシア独特の英語に興味を持ちました。そこからマレーシアの言語や街の様子にどんどん惹かれていって、「ここだ」と思ったんです。

日本語パートナーズとは?

──今回参加された「日本語パートナーズ」派遣事業について、簡単に教えてください。

日本語パートナーズは、アジアの中学?高校などの教育機関に派遣されて、日本語の先生のアシスタントをするプログラムです。目的は、日本のファンを増やすこと。現地の学習者や先生の“パートナー”として寄り添いながら、日本語学習や日本文化理解をサポートします。

授業の補助だけでなく、日本文化の紹介も大切な活動のひとつ。たとえば、七夕やお正月の行事を紹介したり、寿司やうどんを一緒に作ったりと、体験型のアクティビティも行います。日本語教育の経験や日本語教師の資格が無くても応募できるので、大学生でも応募しやすい事業だと思います。

参考:国際交流基金:日本語パートナーズHP
https://asiawa.jpf.go.jp/partners/

集合写真
派遣先校の先生方と(加藤さんは右から5番目)

マレーシアでの派遣生活

──加藤さんはマレーシアの第9期として参加されたんですね。

はい。大学2年生を終えたタイミングで1年間休学し、3月から11月までの約7ヶ月間、マレーシアに滞在しました。派遣先は中等教育機関で、日本でいうALT(外国語指導助手)のような役割でした。

──事前研修もあったそうですね。

派遣前に日本国内において1ヶ月間の合宿形式で、午前中は現地語の集中授業、午後は現地での生活や教育現場での振る舞いについて学んだり、文化紹介の準備などをしました。

文化紹介では、自分の得意なことを活かして何ができるかをじっくり考えました。

──言語面ではアドバンテージがあったのでは?

そうですね。本学でマレーシア語は専攻していたので、復習のような感覚で、逆に他の参加者に教えることもありました。

マレーシアの地方での暮らしと学校生活

──派遣先は希望できるんですか?

派遣先の地域や機関は選ぶことはできません。私は地方の自然豊かな場所に派遣されました。動物園みたいにイノシシや猿、リスが出るような環境も新鮮で面白かったですし、人と人との距離が近くて、温かい雰囲気がありました。

イノシシの写真
こちらを見つめるイノシシ

──住居や国際交流基金のサポート体制についてはどうでしたか?

私の場合は一軒家を提供していただきました。広くてエアコンもあり、お湯も出る快適な環境でした。虫は出ましたが、それも克服できて今では懐かしいです。
サポート面もとても手厚かったです。安全面はもちろん、住居や移動手段もきちんと整備されていました。首都には国際交流基金から派遣された調整員さんがいて、生活や学校で困ったことがあれば相談できます。活動手当や滞在費、航空券、保険も支給されるので、自己負担はほぼゼロです。

──学校での活動はどのようなものでしたか?

週に7コマの授業を担当しました。1年生から3年生までは必修、4?5年生は選択制で、放課後に授業がありました。文化紹介も授業の中で行い、アニメや寿司など、生徒の興味に合わせて内容を工夫しました。

調理風景
文化紹介(左がうどん作り、右が寿司作り)

──印象に残っているエピソードはありますか?

「へのへのもへじ」を教えたときのことです。私がメインで文化紹介の時間を担当することになり、ひらがなが苦手な生徒も楽しめるようにと考えて実施しました。みんなが一生懸命書いてくれて、それぞれ個性が出ていて、とても印象的でした。

授業風景
授業風景
授業の様子

東ティモールでの短期派遣

──その後、東ティモールにも短期で派遣されたそうですね。

はい。国際交流基金から経験者向けに案内があり、昨年12月に1週間、現地に滞在しました。随行者1名含む7人のグループで活動し、日本語学習者向けにはかるたや歌、日本語未学習者向けには日本の祭りを模したブースで浴衣や書道、折り紙などを体験してもらいました。

かるたで遊ぶ様子
東ティモールでの活動(かるた)
浴衣を着て祭り体験する様子
東ティモールでの活動(祭り)

──マレーシアとの違いはありましたか?

マレーシアでは基本的に1人で活動していましたが、東ティモールではグループでの活動だったので、1人ではできないこともでき、協力しながら進める楽しさもありました。

参加を通じて得たもの

──参加前と後で、自分自身に変化はありましたか?

一番大きな変化は、日本語教育に興味を持ったことです。帰国後、大学で始まった日本語教師養成プログラムに参加し、今は資格取得を目指しています。将来は日本に住む外国人の力になれたらと思っています。

──どんな学生にこのプログラムを勧めたいですか?

日本語教育に興味がある人はもちろん、留学とは違う形で現地に深く関わりたい人、何か新しいことに挑戦したい人におすすめです。サポートが手厚いので、安心してチャレンジできます。教育機関への留学よりも現地の暮らしや文化をたくさん経験できるので、そうした経験がしたい人はぜひ参加を検討してみてください。

──最後に、今後の展望を教えてください。

東ティモールでの経験をもとに、卒業論文では現地の言語について扱う予定です。調査をきちんと行い、しっかりと論文を書き上げることが今の目標です。


参照:日本語パートナーズ派遣事業「日本語パートナーズインタビュー動画」(Japan Foundation国際交流基金 公式チャンネルより)

加藤さんも出演しています!

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