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最新10件

コンゴ、ルワンダ大統領がワシントンで和平合意

2025/12/06/Sat

 コンゴ民主共和国のチセケディ大統領とルワンダのカガメ大統領は、12月4日、ワシントンでトランプ大統領立ち会いの下、和平に向けた共同声明に署名した。共同声明は概略次の4点からなる。  1.2025年6月27日の和平協定、4月25日の原則宣言(Decralation of Principles)の実施にコミットする。  2.両国の友好的関係に向けて尽力する。  3.地域経済統合枠組(REIF)に署名した。  4.以上に加え、実施に向けた諸合意がなされた。これら「平和と繁栄に向けたワシントン諸協定」は、地域和平の礎となる。トランプ大統領に感謝する。  以上のように、今回の共同声明は、和平プロセスに関しては、既存の合意を確認するものだ。新しい点は、REIFなど経済開発面での合意内容が明らかにされたことである。  REIFは、大湖地域の開発計画で、エネルギー、鉱物資源サプライチェーン、インフラ、観光、公衆衛生といった分野に投資を呼び込もうとしている。ローカルオーナーシップが強調され、コンゴとルワンダが米国と協力しながらサミットを行い、投資促進に努めることが想定されている。  この署名に合わせて、米国はコンゴ、ルワンダとも二国間協定を結んだ。公開されているコンゴとの「戦略的パートナーシップ」協定では、米国によるコンゴへの投資促進を目的として、詳細な規定が盛り込まれている。共同の運営委員会(Joint Steering Committee)を設立し、鉱物資源など戦略的投資分野の開発を進めることが定められている。米国側の意気込みが伝わる内容であり、コンゴにとっては非常に魅力的であろう。  ワシントンで両国首脳が署名したまさにその時、コンゴ東部ではコンゴ国軍とM23との戦闘が激化している。南キヴ州のカマニョラ(Kamanyola)をめぐる攻防で、ルワンダ国内に多数の避難民が流入したとルワンダメディアは報じている(New Times 5日付)。署名によって紛争がただちに終結するとは考えられない。  経済開発のインセンティブによって紛争を止めようというのが、今回の米国による提案である。果たしてうまく進むだろうか。多くのオブザーバーは懐疑的である。現地で紛争が続けば、投資をしようにもできないからである。事態がどう進展するか、注意深く観察したい。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ギニアビサウでクーデタ

2025/12/01/Mon

 11月26日、ギニアビサウで軍が全権掌握を発表した。クーデタである。同国では23日に大統領選挙が実施され、結果を待っているところだったが、選挙プロセスは停止された。  クーデタの発表直後、それが現職のエンバロ(Umaro Sissoco Embalo)と軍が結託したいかさまだという説が広く流布した。翌27日には、陸軍参謀長のホルタ?ンタム(Horta N'Tam)将軍が移行政権の大統領に就任し、エンバロはセネガルに出国したが、セネガルのソンコ首相もクーデタがいかさまではないかとの疑念を示した(28日付ルモンド)。  29日になって、エンバロはセネガルからコンゴ共和国の首都ブラザヴィルへと移動した。短期的に、エンバロが政権に復帰することは考えにくい状況になった。  エンバロとの結託でなかったとしても、軍が選挙プロセスを無効化するためにクーデタを起こしたことは疑いない。つまり、大統領選挙でエンバロと争った対立候補のダコスタ(Fernando Dias da Costa)の勝利を阻止するためのクーデタだったということだ。  エンバロにとって、最大のライバルは有力政党PAIGCのペレイラ(Domingos Simoes Péreira)だった。しかし、ペレイラは9月に最高裁の判断で立候補資格を奪われていた。クーデタ後すぐに、ペレイラは逮捕された。  ギニアビサウは近年政情が不安定で、クーデタが頻発してきた。今回、軍は政党政治を抑圧して秩序回復を図ろうとしている。アフリカ連合(AU)はすぐさまクーデタを非難し、ギニアビサウを資格停止処分とした。今後の軍の対応が注目される。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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南アフリカのGBVへの抗議活動と家父長制社会の綻び

2025/11/30/Sun

 南アフリカは、11月21日、全国的な抗議活動へと発展したオンラインでのキャンペーンを受け、ジェンダーに基づく暴力(GBV)を国家的災害と宣言した。  BBCによると、ヨハネスブルグで開催されたG20サミットを前に、21日、南アフリカ各地の都市で数百人の女性が、GBVに抗議するために集結した。「追悼と抵抗」の象徴として黒色の服を着用した参加者らは、ヨハネスブルグ、プレトリア、ケープタウン、ダーバンを含む15か所で、GBVによって毎日15人の命が失われていることを象徴し、15分間の黙祷を捧げた。  国連女性機関によると、南アフリカはGBVの発生率が世界で最も高い国の一つであり、女性の殺害率は世界平均の5倍に達している。「G20女性シャットダウン」と名付けられたこの抗議行動は、NGO「ウィメン?フォー?チェンジ」が主催したもので、女性とLGBTQ+コミュニティに対し、「職場、大学、家庭におけるあらゆる有償?無償の労働を控え、1日中金銭を使わず、彼女たちの不在がもたらす経済的?社会的影響を示す」よう訴えた。この抗議行動は、同団体が1ヶ月にわたり展開してきたキャンペーンの集大成であり、南アフリカ政府に対し、GBVを国家的災害と宣言するよう働きかけてきた。  オンライン署名には100万件以上が集まり、米国グラミー賞受賞歌手のタイラを含む多くの人びとが、ソーシャルメディアのプロフィールを女性の権利と関連付けられることが多い紫色に変更した。紫色のネイルアートや衣服を着用した写真を投稿する人びとも相次ぎ、こうした動きは「パープル?ムーブメント」と呼ばれる。  このキャンペーンを受けて、国立災害管理センター(NDMC)のボンガニ?エリアス?シトレ所長は21日、GBVとフェミサイドを国家的災害に指定すると発表した。これまでNDMCは、この指定は災害管理法に定められた法的要件を満たしていないと述べていたが、「進行中の暴力行為によってもたらされる持続的かつ差し迫った生命の安全に対するリスク」を評価した結果、基準を満たしていると結論付けた。  協同統治?伝統問題省は、BBCの取材に対して、この指定によって政府機関は割り当てられた予算を使い、「あらゆる可能な対策を実施」できるようになると答えている。対策が効果を上げない場合、政府は国家非常事態を宣言することができ、この問題への対応はより緊急なものとなる。  一方、国連が定めた「女性に対する暴力撤廃の国際デー」である11月25日には、イタリアにおいても、ジェンダーを理由に女性を殺害するフェミサイドを独立した犯罪とする法案が、全会一致で可決した。イタリアは、世界男女格差指数で85位と、EU諸国の中でほぼ最下位に位置している。この法案は、2023年12月に20代女性が元交際相手によって殺された事件をきっかけに、抗議活動が活発化し、法制化が一気に進んだ経緯がある。  11月下旬に異なる国々で立て続けに生じたジェンダーをめぐる国家的災害指定や法案可決は、いずれも抗議活動が国をうごかしていた。それぞれの国が抱える文脈は異なるものの、男性優位の家父長制社会が抱えてきた問題が表面化し始めているのを、私たちは目の当たりにしているのかもしれない。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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セネガル指導部の亀裂

2025/11/22/Sat

 セネガルで2024年3月に成立した政権は、バシル?ジョマイ=ファイ大統領とウスマヌ?ソンコ首相がタッグを組み、国民の支持を集めてきた。ここに来て、両者の間の亀裂が報じられている。  亀裂が表面化したのは、11月11日に発表された大統領派コーディネーターの人事である。ジョマイ=ファイはソンコの側近であるアイダ?ンボジ(A?da Mbodj)を更迭し、元首相のアミナタ?トゥレ(Aminata Touré)を任命した。  大統領派の最大政党Pastef(労働?倫理?友愛のためのセネガルアフリカ愛国者)党首であるソンコは、8日に開催された集会で、ンボジへの支持を表明していた(12日付ルモンド)。  両者の亀裂は、7月頃から指摘されてきた。ソンコが社会革命を志向し、Pastefを機動力として、腐敗したマッキー?サル時代の国家機構を一掃したいと考えているのに対して、ジョマイ=ファイはより包括的なアプローチを志向し、Pastefに同盟する小政党にも役割を与えようとしている、という分析もある(18日付ルモンド)。  若者の支持を得た、アンチ?システムの政権として、セネガルは注目を集めてきた。表出した指導者間の不一致が今後どのように展開するか、重大な局面にある。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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最近のアフリカ大統領選挙

2025/11/10/Mon

 9月から10月にかけて、アフリカ5ヵ国で大統領選挙が実施された。そのなかで最も日本で報道されたのは、カメルーンであろう。10月12日に実施されたカメルーン大統領選挙では、92歳のポール?ビヤ(Paul Biya)が8期目の当選を果たした。ビヤは1982年からこの国の権力を握り続けている。  10月25日のコートジボワール大統領選挙では、83歳のアラサン?ワタラ(Alassan Ouattara)が四選された。10月29日のタンザニア大統領選挙では、サミア?スルフ?ハッサン(Samia Suluhu Hassan)が当選した。65歳のハッサンは、独立以来政権を握る与党CCM出身で、前大統領ジョン?マグフリ(John Magufuli)の下で副大統領を務め、彼が急死したあと大統領に昇格した。  カメルーンもコートジボワールもタンザニアも、事実上野党を排除した選挙だった。国民の不満も強く、特にタンザニアでは抗議行動に苛烈な弾圧が行われ、数百人以上が死亡したと言われる。タンザニアはCCMの一党優位体制が続いてきたが、これほどの抗議運動と犠牲者数は前例がない。  選挙で野党が勝利し、政権が交代した国もある。9月16日に実施されたマラウイの大統領選挙では、野党のピーター?ムタリカ(Peter Mutharika)が勝利した。ムタリカは85歳で、2014~2020年にも大統領を務めたが、今回の大統領選挙で現職のチャクウェラを破って当選した。10月9~11日に実施されたセイシェルの大統領選挙では、野党のパトリック?エルミニ(Mathew Antonio Patrick Herminie)が選出された。エルミには62歳。現職のラムカラワン(Wavel Ramkalawan)に勝利した。  アフリカは国の数が多く、選挙といっても多様な現実がある。とはいえ、近年特に、野党を抑圧し、事実上排除した選挙が多くの国で行われていることは憂慮すべきである。それは若者世代の不満を高め、結局は政権の不安定化をもたらすだろう。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ホワイトハウス信仰局トップのアフリカ大湖地域歴訪

2025/11/08/Sat

 7日付けルモンド紙は、米国ホワイトハウスの信仰局長ポーラ?ホワイト(Paula White)のアフリカ歴訪について報じている。興味深い内容なので紹介する。  ホワイトは1966年生まれ。福音派の牧師でテレヴァンジェリスト(TVなどのメディアを通じてで説教する伝道師)である。トランプ政権がホワイトハウスに設置した「信仰局」(White House Faith Office)のトップで、統一教会に解散命令を出した日本政府を批判したことでも知られる。  ホワイトは、現在ガボンにおり、ルワンダ、コンゴ民主共和国、ウガンダを訪問する予定である。6月27日にルワンダとコンゴが和平協定を結んだ際、ホワイトはトランプ大統領、ヴァンス副大統領、ルビオ国務長官らとともに同席し、署名式を祝福する祈りを捧げた。  ホワイトハウスはこのアフリカツアーを熱心に準備してきた。11月15日にはワシントンで、ルワンダのカガメ、コンゴのチセケディ両大統領が出席し、和平協定の署名式が予定されている。ホワイトのアフリカ歴訪は、その直前ということになる。  コンゴでは、この10年の間に福音派教会の数が三倍に増えている。ホワイトはコンゴ滞在中にチセケディ大統領と面会するが、チセケディも熱心なペンテコスト派キリスト教徒である。  ホワイトとチセケディは、「スピリチュアル?ファザー」を同じくしている。西アフリカで最も人気のあるテレヴァンジェリストのニコラス?ダンカン=ウィリアムズ(Nicholas Duncan-Williams)である。このガーナ人牧師はフェイスブックで170万人のフォロワーがおり、アフリカと米国の政治と宗教に影響を与えてきた。  チセケディは、2019年1月に大統領選挙で「勝利」したが、その2ヶ月前にアクラに行き、ダンカン=ウィリアムズの教会であるAction Chapel Internationalでの宗教行事に出席している。ダンカン=ウィリアムズはその席でチセケディを祝福し、勝利を預言した。それ以来、彼はチセケディの「スピリチュアル?ファザー」となった。  一方で、ダンカン=ウィリアムズはホワイトを「我が娘」と呼び、親密な関係を保っている。ホワイトは、2010年代にカリスマ派運動に宗旨変えをしたが、それ以来ダンカン=ウィリアムズを「スピリチュアル?ファザー」と呼び、しばしば彼を米国に招いてきた。  彼は、2015年にホワイトの結婚式を主宰し、2016年にホワイトが第一次トランプ政権で福音派アドバイザリー?ボードのトップに任命されると、2017年1月20日のトランプ大統領就任式に招かれて祈りを捧げた。  コンゴ側はホワイトとの関係を通じて、自分たちの主張がトランプ政権によりよく届けられると期待している。ホワイトは、キンシャサの前にキガリを訪れ、カガメと会談する。  以上が記事の概要である。トランプ政権では宗教右派の影響力が強まっていると言われるが、ガーナのテレヴァンジェリストとの関係も含めて複雑な関係が構築されていることがわかる。これがコンゴとルワンダの和平協定に何らかの影響を与えるのか、これから注視する必要がある。もっとも、チセケディは2日にもカガメが「東部コンゴに領土的野心を持っている」と批判しているし(3日付ルモンド)、東部ではM23が独自に行政官を採用し、自前の行政機構を創ろうとしている(4日付ルモンド)。和平に向けた道のりは簡単ではなさそうだ。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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ナミビア?ドイツ合作ミュージカルの初演

2025/10/31/Fri

 10月17日と18日に、ナミビア首都の国立劇場でナミビア?ドイツ合作ミュージカル「歌の人びと―語られざる物語をひも解く」が初演された。両国のアーティストらが参加し、それぞれの民謡、子守唄、ポピュラー音楽などが織りこまれたこの作品は、ナミビアの架空の村オムスとベルリンの博物館を舞台に、植民地期の凄惨な歴史、アイデンティティ、世代間のトラウマ、癒し、そして和解といったセンシティブなテーマを探求する。  ミュージカル全体を通して示されるのは、音楽が感情の架け橋になることである。物語では、音楽家を目指す若い女性アニロス、義務と叶わぬ夢とのあいだで葛藤する父親ツァウダゴ、過去のトラウマに苦しむ祖母オウマ、そして父の死後に届いた手紙をきっかけにナミビアとの個人的な繋がりを発見するドイツ人ヘルマンの合計4名の主人公の人生が描かれる。彼らの人生は、ベルリンの博物館に残されていた聖なる遺物を、本来の場所ナミビアへ返還するという行為を通して交差する。4名の出会いによって呼び起された記憶と痛みは、言葉ではなく歌で沈黙をやぶることによって和らいでいく。  この初演は、ウィントフックとベルリンの姉妹都市提携25周年を記念した文化交流イベントの一環として行われ、ゲストとしてベルリン市長カイ?ヴェグナー氏をはじめ、40名以上のドイツ人が参加した。11月にはベルリンとブレーメンでも公演が予定されている。スポンサーおよびパートナーには、ベルリン?ロト財団、フンボルトフォーラム、ゲーテ?インスティトゥート、ドイツ連邦外務省が含まれる。  父親ツァウダゴを演じるエルソン?ヒンドゥンドゥ氏は、今年6月に同劇場でオーケストラの指揮をとり、2023年にはナミビア人作曲者として初のオペラ作品「ヒヤングア首長」を作曲していた。植民者との出会いや裏切り、虐殺のテーマを扱ったこのオペラも、両国の首都で公演されていた。  ドイツ本国や、ナミビア国内に暮らすドイツ系移民の子孫のあいだで、植民地期の残虐行為について沈黙が保たれる中で、こうした内容の作品が両国で公演されることの意義は大きいだろう。(宮本佳和)  アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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電動バイク関連スタートアップが大規模資金調達

2025/10/28/Tue

 21日、アフリカで電動バイクを展開するスタートアップのSpiro社は、アフリカ輸出入銀行(Afreximbank)などから1億ドルを資金調達したと発表した。スタートアップによる巨額の資金調達が注目を集めている(22日付ファイナンシャルタイムズ、23日付ルモンド)。  Spiro社側の説明によれば、アフリカではガソリンバイクから電動バイクへの移行が急速に進んでいる。若年層の購買力が上がり、スタートアップ側が利子減免などの優遇措置を打ち出したことも影響している。バッテリー交換ステーションを充実させ、従来の充電方式ではなく、空のバッテリーを満タンのものと取り替えるというSpiro社の販売戦略も成功の理由だという。  Spiro社は、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ナイジェリア、ベナン、トーゴの6ヵ国で1200ヵ所のステーションを運営しており、今年末までに3500ヵ所に増やすことを見込んでいる。  電動バイクの普及は、ガソリン輸入の減少に寄与するという意味で、政府にとっても有益だ。ケニア政府は輸入バッテリーと部品、現地組立車両に対して付加価値税の免税措置を実施している。ルワンダは、本年1月からガソリンバイクの新規登録を禁止し、Spiro社にとって最大の市場になっている。  私はこの9月久しぶりにルワンダを訪問したが、バイクタクシーの活況に驚いた。それがどんどん電動バイクに変化しているということにも驚く。リープフロッグの一端かもしれない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。

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マリの首都で燃料不足深刻化

2025/10/26/Sun

 マリの首都バマコで、ガソリンをはじめとする物資不足が深刻化している。9月3日、アルカイーダ系のイスラム急進主義勢力GSIM(JNIM)は、バマコの包囲作戦を行い、燃料輸送トラックを標的に攻撃すると発表した。その直後から燃料輸送トラックへの攻撃が始まり、9月14日までの被害を受けたトラックの数は50程度に増えた。翌15日、GSIMのスポークスマンは、ビデオで攻撃を継続すると発表。これを受けてバマコではガソリン不足、高騰が進んだ(10月9日付Conflits)。  ジハディストによる攻撃は、セネガル、モーリタニア国境に近い地域とコートジボワールに近い地域で激化している。いずれもバマコへの物資流通ルートにあたり、首都への物資流入が著しく阻害されている。  これに対してマリの軍事政権は有効な対応策が取れていない。10月22日には、軍高官3名が「戦場での成果が出ていない」ことを理由に更迭された。参謀総長補佐、軍治安局長、陸軍参謀長といった高官である(23日付ルモンド)。軍事政権側の焦りを示す措置に見える。  アシミ?ゴイタをトップとする軍事政権は、選挙で選ばれたケイタ政権がジハディスト対策に無策であるとして2020年にクーデタを起こし、その後フランス軍を放逐してロシアに接近した。それ以来、約束した選挙を行わず、自分たちの政権長期化に布石を打つ一方で、批判的な勢力を次々に逮捕している。現在の苦境は、軍事政権もまたジハディスト対策に無能力であることを示しているが、もはや責任を転嫁する相手はいない。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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マダガスカル大統領が国外退避

2025/10/14/Tue

 マダガスカルのラジョエリナ大統領は、12日、フランス軍用機でレユニオン島(フランス領)に退避した。事実上のクーデタとみられる。  マダガスカルでは、当初は劣悪な電気、水道サービスへの抗議として、Z世代の若者たちが中心となって、9月末から主要都市で連日デモが行われた。10月に入ると野党勢力や労働組合もそれに合流して大統領の辞任を求めるようになった。  10月11日、Capsatと呼ばれる軍の部隊が、鎮圧活動を拒否すると宣言し、デモ隊側に合流した。Capsatは直訳すれば「管理技術人員業務部隊」となるが、首都郊外に本拠を置き、2009年にも民衆蜂起に加わったことがある。この時には、結果としてラジョエリナ政権の樹立へと至った。 12日になると、Capsatは新たな参謀長としてピクラス(Démosthène Pikulas)将軍を就任させ、軍全体の掌握を宣言した(12日付ルモンド)。治安部門が大統領側から離反したことが明白になったこの日、ラジョリエナはヘリコプターで首都を脱出し、沿岸部からフランス軍用機で国外脱出したとみられる(13日付ルモンド)。  ラジョエリナは13日、Facebookに動画を投稿し、辞任を否定して憲法遵守を訴えた。なお執務を続行中と主張しているが、既に帰国は困難であり、国内に政権が立ちあがればそちらに権力が移行されるだろう。今後は、どのような形で移行政権が形作られるのかが焦点となる。(武内進一) アフリカからの留学生支援のため、現代アフリカ教育研究支援基金へのご協力を呼びかけています。 

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